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わたしの国はこの世のものではありません

テキスト ヨハネ18:36

18:36 イエスは答えられた。「わたしの国はこの世のものではありません。もしこの世のものであったら、わたしのしもべたちが、わたしをユダヤ人に渡さないように戦ったでしょう。しかし、事実、わたしの国はこの世のものではありません。」

 

(1)この世とは何か

皆さん、イエス様は天の御国からこの地上に降りて来て下さいました。そして、先ほどお読みしたように、イエス様はこの地上と、天の御国とを明確に区別して言われました。わたしの国と表現されました。それはこの地上、この世のものではないのですと。この地上は一体誰のもの、誰が支配しているのでしょうか。

 

①サタンの支配下にある

ルカ4:5-8にそのことがわかるお言葉があります。

4:5 すると悪魔はイエスを高いところに連れて行き、一瞬のうちに世界のすべての国々を見せて、

4:6 こう言った。「このような、国々の権力と栄光をすべてあなたにあげよう。それは私に任されていて、だれでも私が望む人にあげるのだから。

4:7 だから、もしあなたが私の前にひれ伏すなら、すべてがあなたのものとなる。」

4:8 イエスは悪魔に答えられた。「『あなたの神である主を礼拝しなさい。主にのみ仕えなさい』と書いてある。」

 

このお言葉はイエス様が地上にご自分を表す前の話です。荒野でサタンに試みを受けられたことが記されています。悪魔、サタンはイエス様を高いところに連れて行ったのです。世界の全ての栄華を見せました。金や銀に囲まれたすべての富と裕福な様子を見せました。そしてすべての権威と権力、そしてそこから得られる栄光と誉れ見せたのです。

 

「見なさい。これらの栄華を。これは私の手の中にあるのです。わたしに任されています。でも、あなたがわたしを拝むなら、わたしにひれ伏すなら、すべてをあなたにあげましょう。」

 

イエス様は、天の御国から父なる神様のお心を成し遂げるためにこの地上に来られました。持っていたものすべてのものを捨てて来られたのです。イエス様はすべての権威と権力、富と栄光、誉と賛美、そしてすべての礼拝を受けておられました。御使いたちも御子なる主を礼拝していたのです。でもイエス様はそのすべてを捨てて降りてこらえました。なぜでしょうか。父なる神様のお心を実行するためでした。

 

悪魔は、イエス様がすべてを失っておられることを見抜いて誘惑してきたのです。「どうだ、わたしのしもべになれ。そうすれば、あなたはすべての富と権力を持つのだ。わたしを拝め。」もちろん、イエス様はそんなことをするわけはありません。父なる神様のお心を忠実に行うお方だからです。

 

イエス様が悪魔に勝利する秘訣、それはみ言葉、聖書のお言葉でした。

4:8 イエスは悪魔に答えられた。「『あなたの神である主を礼拝しなさい。主にのみ仕えなさい』と書いてある。」

 

「ここに、こう書いてある。サタンよ。退け。」と言って退けたのです。皆さん。この秘訣は、私たちも同じように用いることができるのです。これはサタンを攻撃する武器と一緒です。聖書のお言葉は、剣であると書いてあります。現在だと鉄砲の弾と言ってもいいでしょう。

 

「サタンよ、退け」と言っても、弾がないとどうしますか。「確か、新約聖書のどこかに書いてあったけどなあ」では遅いのです。いつでも取り出してやっつけることができるように準備しておく必要がありますね。

 

 

交番で勤務する警察官は、非常事態に備えてきちんと腰に拳銃を身に着けて管理しています。すばやく対応できる準備をしているのです。私たちも、いつでも取り出せるように聖書のお言葉を心に蓄えて準備しておきましょう。

 

さて、もう一度マタイ4:6をお読みします。

4:6 こう言った。「このような、国々の権力と栄光をすべてあなたにあげよう。それは私に任されていて、だれでも私が望む人にあげるのだから。

 

「この国々の権力と栄光」は誰に任されていると言っているでしょうか。「わたしに任されている」とあります。ここで言う「わたし」、これはサタンの言葉です。イエス様はそのことを否定しませんでした。ということは、この世はサタンが支配しているということです。なぜ、この世、すなわち私たちが住んでいるこの地上をサタンが支配しているのでしょうか。天地万物を造られた神様が支配しているのではないでしょうか。

 

②本来地上は誰が治めるべきか

本来、この地上を誰が治めるべきだったのでしょうか。ヒントは創世記にあります。創世記1:27-28をお読みします。

 

 

1:27 神は人をご自身のかたちとして創造された。神のかたちとして人を創造し、男と女に彼らを創造された。

1:28 神は彼らを祝福された。神は彼らに仰せられた。「生めよ。増えよ。地に満ちよ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地の上を這うすべての生き物を支配せよ。」

 

ここにあるように、本来、この地上は私たち人間に与えられました。そして、われわれ人間にこの地上を従えよと神様は言われたのです。従えよとはどういうことでしょうか。治める、支配するということですね。その権利は人間にあったのです。どうしてその権利を失ったのでしょうか。

 

③罪を犯した結果、エデンの園を追い出された人間

創世記3:17、23をお読みします。

3:17 また、人に言われた。「あなたが妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたしが命じておいた木から食べたので、大地は、あなたのゆえにのろわれる。あなたは一生の間、苦しんでそこから食を得ることになる。

 

3:23 神である主は、人をエデンの園から追い出し、人が自分が取り出された大地を耕すようにされた。

 

ここにあるように、人間の罪のためにこの地上がのろわれてしまいました。そして人は神の楽園エデンの園から追い出されてしまいました。私たちの祖先が罪を犯したために、私たちは罪を犯す者となってしまったのです。この地上に生まれてくるすべての人は罪人として生まれてきます。だれも清い人はいません。どんな人間でも罪人して生まれます。ですから罪を犯します。神様に反逆、反抗するのです。

 

アダムとエバ依頼、この地上はのろわれて、サタンが支配するようになったのです。その支配下に入ってしまいました。

 

よく、神様を非難する理由づけをする人がいます。「神様が愛であるというのなら、なぜこの世にいろんな災害や不幸なできごと、戦争や殺人事件など悲惨な事が多いのでしょうか?神様なんかいないのではないか?」

 

ちゃんと聖書はその理由を説明しているのです。私たち人間が罪を犯したために、地上の支配権がサタンに奪われてしまったということです。ですから、サタンのもたらすいろんな事件や事後がはびこっているのです。私たちクリスチャンはこのことをしっかりと理解して説明できるようにしておきましょう。神様が愛であることは変わらないからです。

 

④イエス様が来られた

そのような中、人間にとって驚くべき感謝なことがあります。イエス様が地上に降りて来られたということです。神様の使命を帯びて来られました。私たちをこのサタンの支配から救い出すためです。イエス様が十字架にかかって、私たちの身代わりに罪の刑罰を受けてくださいました。私たちが滅びるはずであったのに、イエス様が代わりに死んで下さったのです。アーメン。これが福音です。良い知らせです。イエス様を信じ受け入れた人は、すべてイエス様のものとされます。すなわち、その支配下に入ったということです。

 

(2)サタンは人をどのように支配するのか

それでもサタンは人を支配しようとします。どのように人を支配できるのでしょうか。

 

①人に罪を犯させる

それは人に罪を犯させることによってです。私たちクリスチャンになっても罪を犯します。神様の前に正しく歩みたいと願っていても罪を犯すことがあります。サタンが私たちを誘惑するからです。いつもそれをねらっています。ですから、その誘惑の火矢をたたき落とす必要があります。しかし、その火矢をたたき落とせなかったらどうなるでしょうか。

 

サタンのやり方を忘れないようにしましょう。「ああ。お前は罪を犯したな。もう俺の奴隷だ。俺に従え。お前は罪人だ。だから、お前は刑罰を受けるのだ。神様の恵みを受ける資格はない。お前は救われない。」と言ってきます。

 

でも、私たちはどうすればいいのでしょう。すぐにやるべきことがあります。イエス様の十字架の前に行くことです。そして言うのです。「イエス様、あなたの前に罪を犯しました。どうぞお赦しください。あなたの前に正しく歩むことができるように助けてください。この罪を悔い改めます。これを捨てます。あなたの血潮で私を清めてください。」そのように祈って罪の悔い改めをする必要があります。そうすれば、イエス様はその罪を赦して清めてくださいます。それが聖書の約束です。それがイエス様の十字架の恵みなのです。

 

②罪の債務証書を提出して訴える

サタンは私たちを責め立てるとあります。コロサイ2:14と黙示録12:10をお読みします。

2:14 私たちに不利な、様々な規定で私たちを責め立てている債務証書を無効にし、それを十字架に釘付けにして取り除いてくださいました。

 

ヨハネの黙示録12:10

12:10 私は、大きな声が天でこう言うのを聞いた。「今や、私たちの神の救いと力と王国と、神のキリストの権威が現れた。私たちの兄弟たちの告発者、昼も夜も私たちの神の御前で訴える者が、投げ落とされたからである。

 

サタンは、私たちを責め立てる債務証書を突き付けるというのです。私たちを常に告発して訴えようとします。それがサタンのやることです。でも、その債務証書、告発書をよく見てみると、どうなっているでしょうか。すべて赤く塗りつぶされているのです。イエス様の血潮で塗られているのです。その債務証書は無効になっています。

 

私たちが悔い改める時、そのことがなされます。ですから、私たちは毎日「悔い改める」ということが必要です。毎日、イエス様の十字架を見上げて、その前にへりくだっていきましょう。

 

③罪の奴隷にする

私たちが悔い改めないとき、どうなるでしょうか。

ローマ6:16-18

6:16 あなたがたは知らないのですか。あなたがたが自分自身を奴隷として献げて服従すれば、その服従する相手の奴隷となるのです。つまり、罪の奴隷となって死に至り、あるいは従順の奴隷となって義に至ります。

6:17 神に感謝します。あなたがたは、かつては罪の奴隷でしたが、伝えられた教えの規範に心から服従し、

6:18 罪から解放されて、義の奴隷となりました。

 

罪を悔い改めないで、罪を犯し続けるなら、私たちはその奴隷にされるとあります。しかし、私たちはその中から救い出されました。イエス様が買い取って下さいました。これは自分の力ではできないことです。これは恵みです。

 

(3)サタンの支配から脱するには

①イエス様の十字架のみわざによって

イエス様の十字架の驚くべき恵みをもう一つ見ていきましょう。ヘブル2:14-15をお読みします。

2:14 そういうわけで、子たちがみな血と肉を持っているので、イエスもまた同じように、それらのものをお持ちになりました。それは、死の力を持つ者、すなわち、悪魔をご自分の死によって滅ぼし、

2:15 死の恐怖によって一生涯奴隷としてつながれていた人々を解放するためでした。

 

ハレルヤ。感謝します。悪魔は私たちを奴隷にしていたと書いてあります。でもイエス様が救い出してくださいました。しかも、イエス様はその「十字架の死によって悪魔を滅ぼした」とあります。

 

ここで、滅ぼしたという言葉は原語のギリシャ語では、カタルゲオという言葉が用いられていますが、これは、破壊する、滅ぼすという意味のほかに、役に立たなくする、無効にするという意味があります。すなわち、悪魔のわざを役に立たなくするという意味です。まだ、この地上はサタンに支配されています。やがて完全に裁かれることが決まっていますが、それまで、サタンは刑罰を待ちながら悪さをしているわけです。これが聖書が主張していることです。

 

②御子の支配に移された

救われた私たちの立場は、今どうなっているのでしょうか。

コロサイ1:13をお読みします。

1:13 御父は、私たちを暗闇の力から救い出して、愛する御子のご支配の中に移してくださいました。

 

そうです。イエス様のご支配の中にあるということです。サタンの奴隷ではないのです。私たちはキリストのものとなりました。そして神の子とされました。その身分とされたのです。これは本当に驚くべきことですね。恵みです。

 

③地の塩、世の光とされた

この地上は相変わらず、サタンが支配しています。なぜなら、彼に従う者が多いからです。しかし私たちは、サタンが支配するこの地上にあって生きています。イエス様はこの地上における私たちの役目を教えてくださいました。

 

マタイ5:13-16をお読みします。

5:13 あなたがたは地の塩です。もし塩が塩気をなくしたら、何によって塩気をつけるのでしょうか。もう何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけです。

5:14 あなたがたは世の光です。山の上にある町は隠れることができません。

5:15 また、明かりをともして升の下に置いたりはしません。燭台の上に置きます。そうすれば、家にいるすべての人を照らします。

5:16 このように、あなたがたの光を人々の前で輝かせなさい。人々があなたがたの良い行いを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようになるためです。

 

私たちはどんな役目がありますか。そうです。1番目に地の塩としての役目です。地の塩って何でしょうか。塩の働きを調べるとよくわかります。塩の働きは、①防腐材、②味を調える ③体の働きを維持する などがあります。なくてはならないものです。この地上における私たちの働きは、塩のようにこの地上を清める働きがあります。腐らないようにする働きがあります。そしてこの地上をサタンの攻撃から守る働きもあるのです。

 

そして、2番目の役目は、世の光です。イエス様もご自身のことを、わたしは世の光であると言われました。そのイエス様が私たちの内に住んでくださっています。ですから、私たちを通して世の光として輝くことができますよということです。

 

このように、イエス様は私たちがこの地上にあって役立つ者、特別な存在として置いてくださっています。感謝ではないでしょうか。

 

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