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東の国からやって来た博士たち

テキストマタイ2:1-15

2:10 その星を見て、彼らはこの上もなく喜んだ。

2:11 それから家に入り、母マリアとともにいる幼子を見、ひれ伏して礼拝した。そして宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。

 

今日出てくる東方の博士たちは、当時の最先端を行く天文学者たちでした。どんな行動をしたのか見ていきましょう。

 

今日お読みした聖書の中に、東の博士たちが登場してきます。この博士たちとは何者だったのでしょうか。聖書はあまり詳しくは書いていないのです。でも彼らの行動を見るとその姿が見えてきます。

 

彼らは、言っています。「私たちはその方、ユダヤ人の王としてお生まれになる方の星が昇るのを見たのです」

彼らは、博士たちと訳されていますが、いわゆる天文学者たちでした。夜な夜な毎日、星を観察しては、天体の動きを研究していたのです。

 

一番、地球に大きな影響を及ぼす天体と言えばなんでしょうか。そうです。最初に太陽です。次に月でしょう。これらが地球の毎日、毎日の自然現象に大きく関わっています。ですから、彼らは学者として細かく研究していたのです。太陽や月だけでなく、多くの天体もまた、何かしらの影響を与えているに違いないといってその真理を探ろうとしていたグループなのです。

 

この博士という言語では、マゴスというギリシャ語が用いられています。これは、ペルシャの哲学、薬学、天文学などのその時代の最高学問を研究する集団だということです。その時代の科学の粋を集めて研究する機関といってもいいでしょう。一般人にとっては科学の不思議さを集めた所と言えるでしょう。今でいえば東京大学とかの最高研究機関と言えますね。

 

そんな彼らがありとあらゆる研究成果や歴史資料を丹念に調べて、突然現れた、この不思議な星について調べたのです。

 

彼らがどこからやって来たのでしょうか。東方としか聖書は述べていません。イスラエルの東方は、何でしょうか。そこは砂漠の地です。ですから、砂漠を回避してやってきたということです。その先は、ペルシャやバビロンがあるのです。そこは、イスラエルが捕囚としてとらえられていった場所です。アッシリアやバビロンがありました。

 

イスラエルから、祭司や預言者、学者たちが滞在していたのです。そこには、預言者ダニエルもいました。彼は知恵と悟りにおいて誰よりも優れていました。王様の側近となりました。聖書の教えを多くの人にそこで伝達したと考えられます。多くの学者たちに大きな影響を与えたのです。

 

ダニエルは、メシヤの誕生について大切な預言をしました。ダニエルの70週の預言です。ダニエル9:25-26を口語訳でお読みします。

9:25それゆえ、エルサレムを建て直せという命令が出てから、メシヤなるひとりの君が来るまで、七週と六十二週あることを知り、かつ悟りなさい。その間に、しかも不安な時代に、エルサレムは広場と街路とをもって、建て直されるでしょう。

9:26 その六十二週の後にメシヤは断たれるでしょう。ただし自分のためにではありません。またきたるべき君の民は、町と聖所とを滅ぼすでしょう。その終りは洪水のように臨むでしょう。そしてその終りまで戦争が続き、荒廃は定められています。

 

ここで「週」と訳された言葉は、原語ではシャーブイームという言葉が用いられています。このシャーブイームという語は本来数字の7という意味です。7ということから、1週というふうに訳されていますが、ここの解釈は多くの研究者によると、7年という解釈がふさわしいとされています。

 

7週と62週を足すと、69週になりますね。ここで週を7年と解釈すると、69×7で483年ということになります。ペルシャのクロス王がエルサレムを建て直せと命令を出します。それから数えて483年後にメシヤが出現しますよ、という預言なのです。

 

時代はペルシャ、ギリシャを経てローマになりました。でもこの預言を知っている人は、「ああ、間もなくメシアの出現の時代が来る」と期待して待っていたのです。

 

ここに出てくる、東方の博士たちもそのダニエルやダニエルの預言について資料の中からメシヤ預言について見つけていたと思われます。「ああ。ここにメシヤのことについて書いてあるではないか。」でもすぐには、不思議な星の出現と関係があるとはわかりませんでした。なぜ、わかったのでしょうか。

 

そのヒントは聖書の中にあります。モーセの時代、イスラエルがエジプトから出て来たころのことです。バラムという預言者の話が出てきます。

民数記24:17

24:17私には彼が見える。しかし今のことではない。私は彼を見つめる。しかし近くのことではない。ヤコブから一つの星が進み出る。イスラエルから一本の杖が起こり、モアブのこめかみを、すべてのセツの子らの脳天を打ち砕く。」

 

このバラムはメソポタミアに住む祈祷師、まじない師でした。この中東地域では非常に有名な祈祷師で、彼が祝福すると祝福され、呪うとのろわれてしまうと言われるほどでした。ですから、エジプトから出て来たイスラエルの民を、この祈祷師に呪ってもらおうとしたのです。わざわざメソポタミアから呼び寄せたのです。

 

でも、神から祝福された民を呪うことを神様が禁じたのです。アーメン。しかし、神様はここで、この祈祷師さえも用います。神の預言を授けるのです。彼はここで救い主メシアの誕生について預言するのです。

 

「一人の人が見える。ヤコブから一つの星が進み出る、彼は、杖となる人物だ。」と言ったのです。杖と訳されている言語は、シェベットというヘブライ語で、若枝、男子の跡継ぎという意味があります。星をしるしとして王なるお方が出現するという意味です。

 

このことが、出エジプトの時代に起きたこととして聖書に記録されているのです。東方の博士たちは、この不思議な星の意味を調べ尽くして、この文献に出会ったものと想像します。自分たちと同じメソポタミア出身の祖先であるバラムが聖書に残した言葉に出会ったのです。

 

「ああ、この星こそ、ユダヤの王の出現の星だ。さあこの救い主メシヤを拝みに出かけて行こうではないか。」

 

でもまだ、少し疑問が残ります。彼らの心を突き動かすものいったい何だったのでしょうか。何が彼らをして出かけさせるほど、彼らに熱い思いを与え、彼らの心を掻き立てたのでしょうか。このメソポタミアあたりからエルサレムにゆくまでどれくらいの時間とコストがかかるでしょうか。

 

乗り物はらくだかロバを調達していくことになりますね。簡単に見積もっても片道2か月以上の長旅になります。その間の宿泊費用や食糧費、家畜のえさ代など、かなりの旅費が必要ですね。

 

多くの絵本や物語では、3名の博士として登場しますが、聖書では、人数を記していません。おそらく、もっと多かったと思われます。長旅は大変危険です。ちょっとその先に買い物にいってくるというわけにはいかないのです。

 

この博士たちがイエス様を礼拝するために捧げた捧げものは、どれも高価な品物でした。この博士たちは経済的にも力のある裕福な学者たちだったと考えられます。ですから、長旅には、警護する人たち、道案内する人たち、旅のお世話をする人もいたと思われます。

多くの費用と時間をかけてまで、ユダヤの国に行くまで、彼らを掻き立てたのは何だったのでしょうか。単に、ああ不思議な星を見つけた、ということではなかったのです。

 

彼らの研究分野は天文学でした。毎日、毎日天体を観察していたのです。天体を観察しては、それぞれの星の動きを観測し、記録していました。

 

ああ、あの星は何年に1回しか現れないとか、何年ごとに、ときどきほうきのような長い星がやってくるとか、星々の不思議について研究していたのです。これらのことを研究するうちに、測り知れない天地万物の創造者、全能者なる神の存在に気付いていたのではないでしょうか。

 

様々な文献を調査している内に、ダニエルの預言のことばに出会い、ダニエルの残した神のことばに出会い、モーセの残した聖書に出会ったと思われます。

 

そして彼らは、この突然現れた星が、これまでとは違う性質の不思議な星であることを見たのです。ただの星ではない、何かを私たちに教える星だとわかったのです。「このまま、ただぼっと見ているだけではいけない。」彼らの心を動かしたと思われます。毎日毎日、不思議な星が大きく表れて無言のうちに語って来るのです。「救い主が生まれたよ」

 

メソポタミアからエルサレムまで、距離的に2カ月以上かかったと思われます。やっとエルサレムにたどり着きました。彼らが真っ先に向かったところはどこだったでしょうか。

 

天地宇宙の創り主から遣わされた救い主キリストの誕生です。イスラエルの国中がその誕生をお祝いしているはずだと思いました。ところが、町の人々も、王様もだれも知りません。「そんなはずはないでしょう。ここは、キリストがお生まれになる国でしょう。?」

 

エルサレムの町中の人たちがこの騒動を聞いて、動揺したと記されています。王様も動揺しました。「王様が生まれただと? 俺様以外に王はいないし、もしそうだとしたら殺してしまえ!」そう考えました。

 

そして、聖書預言に詳しい祭司長たち、律法学者たちを呼び集めました。メシヤがどこで生まれるのかを調べさせたのです。さすが、祭司長たち、律法学者たちです。すぐにわかりました。彼らは神様のお心からは遠く離れていましたが、聖書の預言にどんなお言葉があるのかを調べることができたのです。

2:6 『ユダの地、ベツレヘムよ、あなたはユダを治める者たちの中で決して一番小さくはない。あなたから治める者が出て、わたしの民イスラエルを牧するからである。』」

 

ベツレヘムでお生まれになりますと答えました。すると、ヘロデ王は、この博士たちを快く送り出しました。あとで詳しい情報を聞いて、殺害しようと企んでいたのです。

 

博士たちは、さっそくエルサレムからベツレヘムに出発しました。そしてまたしてもあの不思議な星が道を教えてくれたのです。スムーズにマリヤとヨセフとイエス様の元にたどり着くことができました。

 

彼らは、もともと天地創造の神、ヤーウェの神を礼拝する人々ではなかったと思われます。彼らが出て来た土地は、盛んにいろんな偶像が拝まれる土地だからです。しかし、不思議な星を見つけ、この星に導かれてまことの神に出会うことができました。そしてイエス様を礼拝したのです。

 

この偉大な救い主の誕生の時に、異邦人であるこの博士たちが拝みにやって来たとういうのは、神様の不思議なご計画だと思います。このことは今の時代につながっています。救い主イエスキリストは、ユダヤ人だけの救い主ではないということです。だれでも信じる人々の救い主であることがこのことを通してもわかります。この博士たちは、異教の国からやって来た異邦人、外国人だったからです。神様が、どんな人間をも愛してくださっていることの象徴でもあります。感謝ではないでしょうか。

 

この博士たちは、何をささげたでしょうか。黄金、乳香、没薬でした。黄金は知っていますが、乳香、没薬はあまりなじみがないですね。

 

乳香は、香りの高い樹木の樹液を集めて固形化したものです。香りを楽しむためのものですが、当時取引される商品として、黄金と同じくらいの価値があったと言われています。かなり高価なものでした。

 

乳香は、香りの高い祈りを表しています。イエス様は神様と私たちの間をとりなしてくださるお方です。私たちのために祈られたお方です。そして人々の祈りを受けられるお方です。祈りの対象です。これは、神様であることの象徴です。

 

没薬は、これも香りが高く、埋葬ために用いられる防腐材として用いられるものです。これも当時、黄金に値する高価な値段がついたそうです。

 

イエス様がこの地上の来られたのは、最初から目的がはっきりとしていました。私たちの罪の身代わりとなって死なれるということです。私たちが受けるべき罪の刑罰を代わりに受けてくださいました。生まれたばかりのイエス様に死を意味する没薬を贈り物として捧げるというのは、キリストが何のために来れれたのかをはっきりと表すものです。

 

黄金、これはイエス様が王であることを象徴する捧げものです。イエス様は天地万物を治める王の王、主の主です。まさしく黄金のように輝くおかたなのです。

 

裕福でなかったマリアとヨセフがこのあとエジプトに渡ります。身寄りもなく、エジプトでの生活は困難なことが多かったと思われます。しかし博士らが捧げた、黄金も乳香も没薬も、どれもかなり高価な品物でした。この高価な品物がエジプトでの彼らの生活を支えたのです。

 

神様の深いご計画がここにも表されています。もし博士らが来なかったら、エジプト生活はとんでもなく困難なものだったと思われます。神様が博士らの心を動かされ、掻き立てられたということがわかります。ハレルヤ。

 

この東方の博士たちは不思議な星に導かれてきました。それでは私たちを導くのは何でしょうか。

 

私たちも生きていく上でいろんな決断をしなければなりません。右に行くのか、左に行くのか、前に進むのか、後ろに進むのか。どこに住むのか、どんな仕事をするのか、誰と結婚するのか、どんな学校に進学すればいいのかとか、いろんな決断をするのです。

 

また、自分の行動についても迷います。この契約をしても良いのか、してはいけないのか。この人と一緒に行ってもいいのか、いけないのか。このことをしていいのか、いけないのか。このことを伝えるべきか、伝えてはいけないのか。いろんな迷いがあります。

 

私たちにも、博士たちが見た星のような導きが与えられています。それは、聖書のみ言葉です。イエス様のお言葉です。ヨハネ14:6をお読みします。

14:6 イエスは彼に言われた。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれも父のみもとに行くことはできません。

 

イエス様は、わたしが道であると言われました。真理であり、いのちであると言われました。わたしが父なる神のもとに一人一人を導きますと言われました。このようなお言葉を話すことができるお方はイエス様のほかにはいません。それは、神の御子であるイエス様だから話すことができます。

わたしが道、真理、いのちと言われた方の言われることに従っていくなら、迷わないということです。ヨハネ8:12節をお読みします。

8:12 イエスは再び人々に語られた。「わたしは世の光です。わたしに従う者は、決して闇の中を歩むことがなく、いのちの光を持ちます。」

 

なんと感謝なお言葉ではないでしょうか。このお方に従っていく者は闇の中を歩まないと約束しています。闇の中とはなんでしょうか。光がないところです。光が無くて足もとも見えず、まったく先も見えません。手探り状態です。何かが襲ってきてもその敵さえも見えません。それが闇の中です。でも、信じる者は、いのちの光を持つと約束されています。

 

そして、聖霊が私たちの内に住んでくださっています。聖霊が私たちの不思議な星として導いてくださるのです。語って下さるのです。私たちは、その語り掛けを毎日受け取っていきましょう。み言葉を通して語って下さいます。受け取っていきましょう。

 

今日は、東方からやって来た博士たちについて見てきました。天文学者であった彼らは不思議な星を見つけました。そして、これは一体何事かと丹念に調べたのです。そしてその不思議な星の現れが救い主の誕生を示すものだと知りました。そして命をかけてベツレヘムへとやって来たのです。彼らの命をかけた行動は、イエス様を助けたのです。私たちにも不思議な星としてのみ言葉が与えられています。毎日神様の導きを受けていきましょう。

 

  

 

 

 

 

  

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