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神の国を求める (マタイ6:33)

テキスト マタイ6:33
6:33 まず神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはすべて、それに加えて与えられます。

今日の聖書は、イエス様が教えてくださった山上の垂訓と言われる教えの中の一つです。イエス様がご自分を世の中に現れた時の第一声は何だったでしょうか。「悔い改めよ。天の御国が近づいた。」というお言葉でした。バプテスマのヨハネが道を備えてくれました。その同じ言葉をイエス様は第一声として語られました。

天の御国が近づいた、の「近づいた」というギリシャ語は、エンギケンと言います。これを日本語に訳すると「到達した、到着した」という意味があります。ですから、ここでは、天の御国がすでに到着したという意味を持っています。イエス様ご自身が神の国をもたらしたということです。

ある時、イエス様はパリサイ人の質問、いつ神の国は来るのですかという質問に答えられました。ルカ17:21です。
17:21 『見よ、ここだ』とか、『あそこだ』とか言えるようなものではありません。見なさい。神の国はあなたがたのただ中にあるのです。」


神の国とは何でしょうか。神様が完全に支配されるところ、それが神の国です。ですから、イエス様ご自身が地上に来られたそのことが、神の国が到着したということです。あなたがたの中で行っているわたしのわざを見て御覧なさい。それを見ると、神の国が来ていることがわかるのですと言われました。

イエス様は、そのご生涯の中でたくさんの御業をなされました。そして十字架の死、復活という御業を終えられて天に戻られました。ということは、神の国も一緒に天に行ってしまったのでしょうか。今の時代、神の国はどこにあるのでしょうか。

もちろん、神の国は天にありますが、この地上から消えてなくなったのではありません。イエス様は、助け主聖霊様をわたしたちの内に住まわせてくださいました。イエス様を信じた人、心にイエス様を受け入れた人々の中に聖霊様が住んでおられます。ですから、私たちのただ中に神の国があるということです。何とすごいことでしょうか。神様は、私たちの内側に神の国を存在させておられます。

しかし、ただぼおっ-と生きていたら、神の国を表すことができません。聖霊様と仲良くすることが鍵です。聖霊様、今日は月曜日ですから自分のやりたいことがあります。ちょっとあっちを向いていてください、といって聖霊様を端っこに追いやっていては神の国は現れてきません。

イエス様は、自分の生活のどの部分よりも、まず神の国を第一に求めなさいと言われました。

どのようにして私たちは神の国を求めることができるのでしょう。数週間前に主の祈りについて学びました。その中に、「御国を来たらせたまえ」と祈りなさいとありました。この地上が神様のお心のとおりになりますように、神様のご支配が表されるように、敵の策略が打ち砕かれて、神様の御業がなされるように祈れということです。ここでもイエスさまは御国、すなわち神の国について語っておられます。
どのように神の国を求めるか、それは祈りにかかっています。どのように祈ったらいいのでしょうか。

詩編の42:1-4をお読みいたしましょう。
42:1 鹿が谷川の流れを慕いあえぐように 神よ 私のたましいはあなたを慕いあえぎます。
42:2 私のたましいは神を生ける神を求めて渇いています。いつになれば私は行って神の御前に出られるのでしょうか。
42:3 昼も夜も私の涙が私の食べ物でした。「おまえの神はどこにいるのか」と人が絶えず私に言う間。
42:4 私は自分のうちで思い起こし私のたましいを注ぎ出しています。私が祭りを祝う群衆とともに喜びと感謝の声をあげてあの群れと一緒に神の家へとゆっくり歩んで行ったことなどを。


この詩編42編の作者は、神様に叫んでいます。彼には、大きな心の痛みがあったのです。3節には、涙が私の食べ物だったと言っています。かなり周りから侮辱されています。信仰をけなされているわけです。この大きな心の痛みを彼は神様のところにもって行きました。「主よ。あなたは確かに生きておられます。わたしはあなたを求めます。どうぞ答えてください。あなたを慕い求めています。それは谷川の鹿のようにあえぎ求めています。」

彼は神様からの慰め、励まし、神様の語りかけを求めました。どうしてでしょうか。それは、今までの経験から、神様が唯一の慰め主、励ますお方、養ってくださるお方、助けてくださるお方であるということを知っていたからです。

4節には、喜びと感謝の声をあげて神の家に歩いて行ったとあります。神様のご臨在によっておおわれていつも強くされていたことがわかります。

この時は、人々から侮辱されて弱められていました。でもその時、彼は神を仰ぎ見たのです。かつて受けた恵みを思い起こしていました。そして「主よー」、と激しく求めました。

私たちも主に対して、飢え渇いて、心を注ぎだして求めることが大切です。飢え渇くということは、この飢え渇きは神様以外には満たすことができないという心の欲求です。

イエス様から神の国を体験させてもらった幸いな人たちがいます。
マルコ9章1-8をお読みしましょう。
9:1 またイエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに言います。ここに立っている人たちの中には、神の国が力をもって到来しているのを見るまで、決して死を味わわない人たちがいます。」
9:2 それから六日目に、イエスはペテロとヤコブとヨハネだけを連れて、高い山に登られた。すると、彼らの目の前でその御姿が変わった。
9:3 その衣は非常に白く輝き、この世の職人には、とてもなし得ないほどの白さであった。
9:4 また、エリヤがモーセとともに彼らの前に現れ、イエスと語り合っていた。
9:5 ペテロがイエスに言った。「先生。私たちがここにいることはすばらしいことです。幕屋を三つ造りましょう。あなたのために一つ、モーセのために一つ、エリヤのために一つ。」
9:6 ペテロは、何を言ったらよいのか分からなかったのである。彼らは恐怖に打たれていた。
9:7 そのとき、雲がわき起こって彼らをおおい、雲の中から声がした。「これはわたしの愛する子。彼の言うことを聞け。」
9:8 彼らが急いであたりを見回すと、自分たちと一緒にいるのはイエスだけで、もはやだれも見えなかった。

その特別な人は、イエス様の弟子たちです。弟子たちの中でも、3名の弟子でした。イエス様の一番弟子の3人組です。ペテロとヨハネとヤコブです。

イエス様は、なぜこの3人だけを高い山に連れて行ったのでしょうか。この3人は弟子たちの中でも、イエス様に近い人たち、親しい人たちでした。聖書のなかでも何回も名前が出てきます。それだけ、イエス様と積極的に関わったということです。

これはイエス様の心を求めたと言ってもいいでしょう。イエス様のお心、お考えに心を留め、注意していました。ひとつも聞き漏らさないようにいつも近くにいたのです。

人一倍、熱い思いをもって主に近づいたと言ってもいいのです。神様を飢え渇く人だったのです。イエス様はその3人を高い山に連れていきました。

高い山とはどんなところでしょうか。道が険しいですね。一段一段上る必要があります。平地ではないのです。人がいません。空気も薄くなります。見えてくる世界は、どんなものでしょうか。山々と雲々、眼下に広がる低い土地の様子です。

これは、霊的にいうと、地上のことがらから離れて天の御国の世界に入るということです。イエス様はこの弟子たち3人を実際の高い山に導かれましたが、霊的にも彼らを引き上げられました。

彼らが最初に気がついたことは何でしょうか。そうです。イエス様のお姿が白く輝いていたということです。どんな職人でもこんなに白くはできないほどの輝きであったと書かれていますね。
マタイの福音書の17章では、
17:2 すると、弟子たちの目の前でその御姿が変わった。顔は太陽のように輝き、衣は光のように白くなった。

と御顔についても記されています。顔が太陽のように輝いていたというのです。これは、イエス様の御子キリストとしてのお姿です。イエス様ははっきりと、ご自分がメシヤ救い主として天から下ってきた神の御子であることをお示しになりました。

そのお姿は、天の御国で持っていたキリストの栄光のお姿です。栄光の輝きを放っていたのです。そのところに、天の御国、神の国が現れたのです。

そこにあと2人の人が現れました。モーセとエリヤです。この2人は旧約時代の人です。天に召されてこの世には生きていなかったのです。でもここに登場します。イエス様と話し合っていました。

私たちは、この世の生涯を終えると天に引き上げられてこのモーセとエリヤのようにイエス様と親しくお話することができます。やがて天の御国で多くの信仰の先輩たちと会って喜びを分かち合い、勝利を喜ぶのです。このモーセとエリヤは、私たちにそのことを教えてくれます。

聖書にはたくさんの人物が登場します。なぜ、モーセとエリヤだったのでしょうか。彼らは代表として現れました。代表です。聖書はキリストの到来についていくつもその型を示しています。いくつも預言しています。モーセは律法の代表です。エリヤは預言者の代表です。

モーセは何をしたでしょうか。神様から律法をいただきました。そのみ教えを記録しました。神様はイスラエルの民を律法と御教えによって導かれました。彼は律法の代表です。

エリヤは何をしたでしょうか。エリヤは神の言葉を預かり預言しました。3年間、雨が降らないように宣言しました。彼は預言者の代表です。聖書はキリストの到来について数多くの預言を記しています。エリヤは預言者の代表です。

イエス様がお生まれになったことで、律法と預言によってあらかじめ示されてきたイエスキリストの到来とその目的がまさに成就されようとしていました。モーセとエリヤはイエス様と何を話していたのでしょうか。

ルカの福音書には、イエス様の最後、すなわち十字架のみわざについて話していたとあります。「イエス様、今こそ聖書に記されてきたことをいよいよ実現なさるのですね、神様のご計画を実行されるのですね。感無量です」といったかどうかはわかりませんが、彼らが背負って来た苦労話をイエス様の前で話していたのかもしれません。

あまりにも、すごいことが起きていました。見たこともない、味わったこともない、経験したこともない神の国を体験したのです。ペテロは、この神の国の体験に圧倒されていました。
マルコ9:6節をもう一度見てみましょう。
9:6 ペテロは、何を言ったらよいのか分からなかったのである。彼らは恐怖に打たれていた。

この「恐怖に打たれた」ということばは、言語では、腰を抜かすとか、肝をつぶすとか、驚きの表現として使われています。神の国のすばらしさに驚くとともに、「ああなんという美しさ、圧倒する神のご臨在と御力だろうか、この世界、この時間を失いたくない」そのようにペテロは感じました。

だから、言いました。ここに、イエス様、モーセ、エリヤの3つの幕屋を建てましょう。そしてそこにお住みください。そうすれば、わたしたちはいつでも神の国に来ることができます。

たまに、臨死体験をして天国に行って、しばらくして地上戻ってきたという人の証を聞いたりします。彼らが口々に言うことは、「あんまりにも素晴らしすぎてもう地上には戻りたくない」という言葉です。イエス様の命令でやむなく戻ってきたわけですが、天の御国のすばらしさにだれでも圧倒されるわけです。

このあと、雲がわき起こって弟子たちをおおいました。そして雲の中から声がかかります。
9:7「これはわたしの愛する子。彼の言うことを聞け。」
このお言葉は、イエス様が水のバプテスマを受けられた時に天から声がしたときのお言葉と似ています。このときも天から声がしました。違うところは、「彼の言うことを聞け」の部分です。

これはいったい何を表しているのでしょうか。彼の言うことを聞けとは、その隣には、律法を代表するモーセが居ました。その隣には、預言者を代表するエリヤが居ました。彼らを前にして、キリストの言うことを聞きなさいということです。キリストは、人ではなく、神の御子なる方であり、律法と預言者を全うするお方であるということです。特別に彼に聞きなさいと言われました。これからは、神の御子キリストの契約の時代が始まりますよということです。

このすばらしい神の国をこの3名の弟子は体験させてもらいました。なぜ、この3名だったのでしょうか。もちろん、熱心にイエス様に仕えてきた弟子であることは先ほど言いました。

ヤコブは、この後、イエス様が復活した後、12弟子の中のだれよりも真っ先に殉教して死んでいきます。ペテロも後に殉教します。しかし、その前にペテロの手紙という新約聖書に残る貴重な記録を書いています。ヨハネは、ヨハネの福音書、ヨハネの手紙、ヨハネの黙示録と新約聖書にはなくてはならない特別な記録を残しています。

彼らは、その神様の奉仕に携わるために、この特別な神の国の体験が必要でした。死は終わりではないということです。死は私たちを神の国へ導く入口であるということです。高い山での経験が心に深く刻まれたと思います。その証を私たちに伝えるために特別に体験させられたのです。

このペテロとヨハネとヤコブの3名は、特別に神の国を体験したのですが、わたしたちは祈りの中で、神の国を体験することができます。ですから、イエス様は神の国を求めなさいと言われましたし、主の祈りの中にもそのことがあるわけです。そしてそのことは聖霊様が導いてくださいます。

ヨハネ16:13-14をお読みいたします。
16:13 しかし、その方、すなわち真理の御霊が来ると、あなたがたをすべての真理に導いてくださいます。御霊は自分から語るのではなく、聞いたことをすべて語り、これから起こることをあなたがたに伝えてくださいます。
16:14 御霊はわたしの栄光を現されます。わたしのものを受けて、あなたがたに伝えてくださるのです。
御霊、すなわち聖霊様はキリストの栄光を現わすとあります。聖霊様を求めるとキリストの栄光に出会うことができるわけです。そして聖霊様は私たちに御国のことを教えてくださいます。

わたしたちの国籍はすでに天にあります。ですから、わたしたちは私たちの国、天の御国のことをもっとよく知る必要があります。それは聖霊様が教えてくださるという約束です。ですから、私たちは聖霊様を歓迎しましょう。聖霊様をもっと求めていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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